数年前からSNSで話題になっている「湯シャン(シャンプーをやめてお湯だけで洗う)」。「シャンプーをやめたら抜け毛が減った」「髪が増えた」という声が拡散され、試した方も多いと思います。
美容師として20年以上、頭皮のプロとしてこの問いに向き合ってきました。結論を正直にお伝えします。
結論:「シャンプーをやめる」こと自体は正解でも不正解でもない
「湯シャンで髪が増える」という話は、一部の人には有効・多くの人には逆効果になりうるというのが正直な評価です。シャンプーをやめることが「良い」かどうかは、あなたの頭皮タイプと生活習慣によって大きく異なります。
湯シャンが「一部の人に有効」な理由
刺激の強いシャンプー(ラウリル硫酸Na配合など)を毎日使っていた方が湯シャンに切り替えると、過剰な洗浄による頭皮乾燥・バリア機能低下が改善されることがあります。特に乾燥頭皮・敏感頭皮の方で「シャンプーを変えるより完全にやめた方が頭皮が落ち着いた」というケースは存在します。
ただしこれは「シャンプーをやめたから良くなった」ではなく、「強すぎる洗浄剤による刺激がなくなったから良くなった」というのが正確な理解です。
湯シャンが「多くの人に逆効果」な理由
①皮脂・汚れが落ちきらない
お湯だけでは皮脂・スタイリング剤・空気中の汚染物質を十分に落とすことができません。落ちきらない皮脂がマラセチア菌の栄養源になり、脂漏性皮膚炎(フケ・かゆみ・赤み)を引き起こします。脂性頭皮の方・スタイリング剤を使う方・運動で汗をかく方には特に不向きです。
②においの問題
皮脂が酸化すると独特のにおいが発生します。湯シャンのみでは十分に除去できないため、周囲に不快感を与える可能性があります。
③「適応期間」のダメージ
湯シャンを始めると最初の2〜4週間は皮脂分泌が過剰になり、べたつき・においが増す「適応期間」があります。この期間に耐えられず途中で強いシャンプーを使うと、逆に頭皮環境が乱れることがあります。
美容師がすすめる「正しいアプローチ」
シャンプーをやめることより、シャンプーの「種類」と「方法」を変えることが正解です。刺激の強いシャンプーから低刺激のアミノ酸系シャンプーに変える、洗い方を「指の腹でやさしく」に変える、38〜40℃のぬるめのお湯にする——これだけで湯シャンと同等かそれ以上の頭皮改善効果が得られます。完全にやめるリスクを取る必要はありません。
まとめ:やめるより「正しく洗う」が正解
「シャンプーをやめると髪が増える」は一部の人には当てはまりますが、多くの方には当てはまりません。正しい対策は「シャンプーをやめる」ではなく「自分の頭皮タイプに合った低刺激シャンプーで正しく洗う」ことです。SNSで流行っている方法がすべての人に当てはまるわけではありません。自分の頭皮の状態をよく見て、判断してください。


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