「コンディショナーとトリートメント、両方使った方がいいんですか?」
サロンでシャンプー台に座っているお客様から、よくいただく質問です。今日はこの二つの違いについて、美容師目線で正直にお話しします。
まず結論からお伝えすると、コンディショナーとトリートメントは役割が違います。どちらか一方で済ませられるものではなく、本来は目的が異なる別のアイテムです。
コンディショナーの役割は、髪の表面を整えることです。キューティクルの表面をコーティングして、指通りをよくし、静電気やパサつきを抑えます。いわば「髪の表面の仕上げ」を担当しているケアです。
一方でトリートメントの役割は、髪の内部に栄養やうるおいを補給することです。カラーやパーマ、日々のドライヤーの熱で失われたタンパク質や水分を、髪の内側から補っていきます。表面ではなく、内側にアプローチするケアだと考えてください。
この違いを知らずに、「コンディショナーをしっかりつけているから大丈夫」と思っている方が、実はとても多くいらっしゃいます。表面はつるつるしているのに、髪を触ると芯がスカスカしている、いわゆる「うわべだけ整っている髪」になっているケースです。
サロンで実際にお客様の髪を診させていただくと、コンディショナーだけを長年使い続けている方の髪は、表面の指通りはいいのに、乾かしたときにパサつきやすかったり、毛先が細く感じられたりすることがあります。これは、髪の内部の栄養補給が足りていないサインです。
では、両方使うとしたら、どんな順番でどう使い分ければいいのか。基本的な考え方はシンプルです。
・週に数回、あるいは特に髪が乾燥していると感じる時期は、トリートメントで内部補修を行う
・トリートメントを使わない日、あるいはトリートメントの後に、コンディショナーで表面を整える
・毎日両方を丁寧に行う必要はなく、髪の状態に合わせて頻度を調整する
「毎日両方使わないといけないのでは」と思われがちですが、実はそうではありません。むしろ、やりすぎることで髪や頭皮に重さが出てしまい、根元のボリュームが出にくくなる方もいらっしゃいます。大切なのは、量や頻度よりも、自分の髪が今どちらを必要としているかを見極めることです。
先日いらっしゃったお客様も、「トリートメントは高いから、コンディショナーだけで済ませていた」とおっしゃっていました。ですが、カラーを繰り返している髪質だったため、内部の栄養補給が特に必要な状態でした。週に一度だけトリートメントを取り入れていただいたところ、次のご来店時には毛先のまとまりが明らかに変わっていて、ご本人も驚かれていました。
もちろん、すべての方にトリートメントが必要というわけではありません。パーマやカラーをしていない、髪へのダメージが少ない方であれば、コンディショナーだけで十分なこともあります。逆に、ブリーチや縮毛矯正など負担の大きい施術を受けている髪には、トリートメントによる内部補修がほぼ必須と言ってもいいでしょう。
自分の髪がどちらのケアを必要としているのか、実は鏡だけではなかなか判断がつきません。美容師は髪に触れた瞬間に、表面の状態と内部の状態、その両方をある程度把握することができます。次にサロンに行かれた際は、「うちの髪、コンディショナーとトリートメント、どちらを重視した方がいいですか?」と一言聞いてみてください。
つけ方にも、実は見落としがちなポイントがあります。コンディショナーもトリートメントも、基本的には頭皮につける必要はありません。毛先を中心に、耳より下の部分から塗布するのが基本です。根元や頭皮にまでべったりつけてしまうと、毛穴が詰まる原因になったり、根元がぺたんとつぶれてボリュームが出にくくなったりします。特に根元のボリュームが気になる40代・50代の方には、この「つける位置」を意識していただくだけで、仕上がりが変わることも珍しくありません。
また、洗い流さないタイプのアウトバストリートメントやオイルを併用するかどうかも、よく聞かれる質問です。これは洗い流すトリートメントとは役割が異なり、ドライヤーの熱やアイロンの熱から髪を守る「保護」の意味合いが強いケアです。三つとも同じものだと思って一つだけで済ませている方も多いのですが、実際には「内部補修」「表面コーティング」「熱からの保護」と、それぞれ担っている仕事が違います。
日々のケアの選び方一つで、同じ髪でも仕上がりの印象は大きく変わります。正しい知識を持って使い分けることが、遠回りに見えて実は一番の近道です。
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