「暑いのはもう限界なのに、朝晩は急に涼しくて。体がついていかなくて」
先週いらした40代のお客様が、シャンプー中にふと漏らした一言です。頭皮を見せていただくと、赤みはないものの、指で触れるとひんやりして、少し敏感になっている様子でした。
この時期、「頭皮がかゆい」というご相談が増えます。原因を汗や皮脂のせいだと思われる方が多いのですが、9月に入ってからのかゆみは、少し事情が違うことがあります。
朝晩と日中の気温差が大きいこの時期は、自律神経が乱れやすくなります。自律神経は血管の収縮・拡張をコントロールしているので、ここが乱れると、頭皮への血の巡りにもムラが出ます。血流が不安定になった頭皮は、皮脂の分泌もバランスを崩しやすく、乾燥している部分とべたつく部分が同じ頭にできることもあります。これが、かゆみや小さな違和感につながります。
汗をかいた日の洗い残しや、日焼けの延長にあるかゆみと、見分けがつきにくいのですが、目安があります。
ひとつは、かゆい場所が日によって変わるかどうかです。気温差が原因の場合、今日は頭頂部、明日は耳の上というように、場所が一定しないことがよくあります。皮脂や汗が原因のかゆみは、同じ場所に出やすい傾向があります。
もうひとつは、涼しい日と暑い日で症状の強さが変わるかどうかです。冷房の効いた場所から急に外に出た日や、寒暖差が大きかった日の夜に、かゆみが強くなる。そういう方は、気温差の影響を受けている可能性が高いです。
ここで、やってしまいがちなことをお伝えします。かゆいからといって、爪を立てて強くかいたり、洗浄力の強いシャンプーに変えたりするのは、逆効果になることがあります。頭皮のバリア機能がもともと不安定になっている時期なので、刺激を増やすと、かゆみが長引く原因になります。
代わりに、今日からできることを3つお伝えします。
・シャンプーの温度をぬるめにする。熱いお湯は皮脂を取りすぎて、乾燥からくるかゆみを強くします
・お風呂上がりに髪と頭皮をしっかり乾かしてから、涼しい場所に移動する。濡れたまま冷えると、血行の乱れに拍車をかけます
・首元を冷やしすぎない。首には自律神経に関わる太い血管が通っているので、ここを冷やし続けると頭皮の血流にも影響しやすくなります
それから、もし薄手のストールなどをお持ちでしたら、冷房の効いた部屋や電車で首元にかけるだけでも、体感がだいぶ変わる方がいらっしゃいます。特別なケア用品を増やす前に、まず試していただきたいことです。
「このかゆみは、いつまで続きますか」ともよく聞かれます。気温差によるものであれば、朝晩の気温が落ち着いてくる10月にかけて、自然とおさまっていく方がほとんどです。ただ、赤みやフケを伴う場合や、2週間以上まったく変わらない場合は、気温差だけが原因ではないかもしれません。その場合は、我慢せず皮膚科に相談されることをおすすめします。
秋の抜け毛と同じで、この時期のかゆみも、季節が体に与える自然な反応であることがほとんどです。焦って何かを変える前に、まずは温度と乾かし方から見直してみてください。
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