「顔まわりだけ、チリチリした短い毛がピンピン出てくるんです」
40代を過ぎたお客様から、いちばん多くいただくご相談かもしれません。まとめても浮いてくる。おろしても顔の横で跳ねる。ご自分では「傷んで切れているんだと思います」とおっしゃる方がほとんどです。
結論から申し上げます。その短い毛の多くは、切れ毛ではありません。新しく生えてきた毛です。つまり、髪が減っているどころか、ちゃんと生えているという証拠のほうなのです。
切れ毛と新しい毛は、毛先で見分けられます
明るいところで1本つまんで、毛先を見てください。
切れ毛は、先がぷつりと途中で途切れています。太さが根元から先までほぼ同じで、断面がまっすぐです。アイロンやブラッシングで無理な力がかかった毛が、これにあたります。
新しく生えてきた毛は逆で、先に向かってすっと細くなり、産毛のように尖っています。これはまだ一度も切られていない毛だという意味です。顔まわりの短い毛を見ていただくと、多くはこちらのはずです。
ご自宅でできる見分け方はもうひとつあります。指で根元をたどってみて、髪の流れとは違う向きから生えているなら、それは切れ毛ではありません。切れ毛は、まわりの毛と同じ向きから生えています。
では、なぜうねって生えてくるのか
ここからが本題です。若い頃も新しい毛は生えていましたが、当時はまっすぐ生えていたので気になりませんでした。40代以降、同じ毛が波打って生えてくる。理由は毛そのものではなく、毛穴のほうにあります。
髪は、毛穴という筒を通って出てきます。この筒が年齢とともに少しずつゆがむと、通ってくる髪もその形にならってうねります。ストローが折れ曲がっていれば、中を通るものも曲がって出てくる。それと同じことが頭の中で起きています。
頭皮が硬い方、同じ分け目を何年も続けている方、いつも同じ位置で結んでいる方は、この変化が出やすい傾向があります。顔まわりに集中するのは、そこが引っぱられやすく、日焼けもしやすい場所だからです。
やらないほうがいいこと
まず、抜かないでください。気になって根元から引き抜く方がとても多いのですが、生えてきたばかりの毛を抜くのは、いちばんもったいない行為です。何度も同じ毛穴から抜いていると、次の毛が生えてこなくなることがあります。
次に、その部分だけアイロンで何度も往復させないこと。短い毛にアイロンを当てると、地肌にも熱が入ります。うねりは一時的におさまりますが、翌日にはまた出てきますし、そのくり返しで本当の切れ毛に変わってしまいます。
そして、短く切りそろえないでください。「うっとうしいから切ってください」と言われることがありますが、切ると余計に立ちます。伸びる途中の毛は、長さがあるほど重みで落ち着きます。
今日からできること
乾かす順番を変えてみてください。顔まわりの生え際から先に乾かします。ここは乾くのが早いぶん、最後に回すとすでに乾いていて、うねったまま固まっています。濡れているうちに、根元を指で前後に動かしながら風を当ててください。それだけで落ち着き方が変わります。
洗うときは、生え際に指の腹を置いて、頭皮ごと後ろに動かす。こするのではなく動かすことが大切です。爪は立てないでください。お湯は38度まで。硬くなった頭皮は、ひと月ほど続けると手ざわりでわかるほど変わってくる方がいらっしゃいます。
それから、分け目と結ぶ位置を数日おきに変えること。同じ場所を引っぱり続けないだけで、顔まわりの負担はかなり減ります。
隠すよりも、育てるほうが早いことがあります
顔まわりの短い毛は、スタイリング剤で押さえつけることもできます。ただ、押さえるほど朝は重くなり、夕方には浮いてきます。私が担当しているお客様には、まず「これは減っているサインではありません」とお伝えしています。そこが伝わると、扱い方が変わるからです。
新しい毛が生えてきているということは、その毛穴はまだ働いているということです。うねって出てくるのは、通り道の問題であって、髪をつくる力が止まったわけではありません。頭皮をやわらかく保ち、引っぱらず、抜かない。この3つを続けている方は、半年ほどで顔まわりの毛の落ち着き方が変わってきます。
ただし、短い毛が細く色も薄く、触っても頼りない感じが続く場合は別です。そのときは毛周期のほうが短くなっていて、伸びきる前に抜けてしまっている可能性があります。これは頭皮ケアだけでは追いつかないことがあるので、いちど美容師か医師に見てもらってください。
40代、50代の髪は、若い頃と同じようには生えてきません。それでも生えてはいます。目に見えて増えてきた顔まわりの短い毛は、困りごとの顔をしていますが、中身はいい知らせのほうです。
結んでいる時間が長い方は、生え際そのものが下がってきていることもあります。その話はこちらの記事でお話ししていますので、あわせて読んでみてください。
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